京都 中勢以の使い方 1

 

ショーケースのないお肉屋さん

京都中勢以外観

 

京都 中勢以を訪れた瞬間、一見、どの様にお肉を購入すれば良いかわからない方も少なくないと思います。

 

そこで本コラムより数回に渡り、なぜ、そのようなお店にしたのか、そして、そのようなお店をどのように使っていただきたいか、お話したいと思います。

今回の京都 中勢以フルリニューアルでは、日本の肉屋として、京都 中勢以が伝えたい事を、伝えられる店づくりができるよう店舗やWebpage等を新たにデザインしました。(注1)

 

京都 中勢以が伝えたい事は、農家さんや牛、肉屋や肉の事等いろいろありますが、最も伝えたい事の1つは「お肉はおいしい」という事です。

私たちは、お肉の買い手であり、作り手であり、そして、売り手です。それぞれの立場において、おいしいお肉とは何かを考え、おいしいお肉をつくる仕事しなければならないと考えています。

 

Webpageの設計では、様々な言葉を加え、より微細に渡って伝えたい事を調和させ、文章として散りばめました。また、視覚からより素直に伝わるよう写真やその配置で表現しています。

 

店舗の設計では、売り手として、その肉のおいしさを押し付ける事なく素直に感じていただけるような設計を心がけました。(注2)

 

お肉と一言で言っても、牛や豚の個体、部位、熟成具合、そして、カットの方法により、それぞれ味が異なります。また、お客様の好み、調理方法、そして召し上がられるシチュエーション等により、求められるお肉もそれぞれ異なります。そのような、多様なお肉とお客様の引き合わせこそが、京都 中勢以が肉屋として「お肉はおいしい」と感じていただく為に最も大切な仕事である、という考えから、お一人お一人のその時その時に合ったお肉をご用意できるよう、お客様との対話を最も大切にした店舗をつくりました。

 

結果として、対話の物理的そして精神的な壁となるショーケースは排除し、お客様との間には、作業を行うための腰の高さ程度のカウンターのみが存在します。

 

そんな、カウンターだけのお店でどのようにお買い物をするか。次回は、具体的なお買い物の流れをお話したいと思います。

 


 

注1.ここで、「店づくりをした」と言い切らないのは、店をつくるのは、瞬間のデザインだけでなく、そこで仕事をする店員、お買い物をされるお客様、そして、流れる時間、それらによって店はつくられていくと考えているからです。

 

注2.買い手、つくり手についてもコラムの中でお話したいと思います。

京都 中勢以 フルリニューアルオープンの御礼

1981-2015

 

2015年3月18日、京都 中勢以が新しい一歩を踏み出しました。

 

オープン初日には、多くの方々から、励ましのお言葉やお祝いのお花、お酒などの品々を頂戴いたしました。誠にありがとうございます。

 

1981年の創業以来、34年間積み重ねてきましたお客様と農家さんとの信頼関係を土台とした、一歩です。

 

お肉のショーケースを置かず、すべてのお客様にご用を伺い、その日、その時のお求めに合わせてお肉を見立て、ご用意させていただく。

 

34年前、肉を食べるお客様の為に良い牛を良い肉として提供する事を目的として、牛を育てる農家さんの為、そして自分たちが気持ちよく生きていく為に創業いたしました。その目的を果たす為、牛一頭を買付け、その日の販売に合わせて枝肉を裁き、切り出し、売るという方法を選択しました。その中で、当時から精肉は寝かせた方が良い状態になる事は、食肉業界では、割と知られておりました。京都 中勢以においても骨付きのまま、2~4週間ほど寝かせて販売しておりました。それが、創業以来、熟成を行っていると言われる所以です。

 

創業から15年後の1996年、販売量の増加に合わせ、寝かせるというよりも、きっちりと熟成を施した方が良いという考えから、第一熟成庫を建設。2008年には、より多くの枝肉を熟成させる為に第二熟成庫を建設。

 

また、2004年からは、「安心で旨くなければ」をモットーとして、農家さんの事や熟成を中心とした肉の事、自分たちの取り組んできた事や、現在取り組んでいる事をご覧いただきたいという思いや、理解していただきたいという考えをそのまま言葉や文字、形にしてきました。

 

そして、2015年。これまで積み上げてきた中から、無くても良いのではないかという物や言葉をそぎ落とした形として、京都 中勢以として、店舗を改装し、ウェブサイトを新設いたしました。

 

店舗では、これまで通り、お客様の為、農家さんの為、そして自分たちの生きる為、それに加えて、これからの日本の畜産業の為に、未来に繋がる仕事の出来る場所を作りました。未来に繋げるその方法は、また次のコラムの中でお伝えしたいと思います。

 

このコラムでは、京都 中勢以の考え方はもちろん、季節のご案内を中心に、今回のウェブサイト作成の過程でそぎ落とした言葉を補足する意味合いも込めて、少しずつお伝えしていきたいと思います。

 

すぐに知りたい、もっと深く知りたいという事がございましたら、お電話やメールではお伝えが難しい事が多い為、新しい店舗にぜひお越しいただき、お伺いいただければと存じます。

 

この度、フルリニューアルオープンを行う事ができました事は、ひとえにお客様と農家さん、そして、その他、様々な形で京都 中勢以を支えてくださった方々のおかげでございます。心から御礼申し上げます。

 

新しい京都 中勢以が、「牛・肉・人のつなぎ手」として、これまでの「和」をますます深め、新しい「和」がつながり広がる事を心から願いつつ、はじめのコラムの結びとさせていただきます。

京都 中勢以
加藤 謙一

 

京都 中勢以 開店のお知らせ

 

謹啓 向春の候、

ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

 

さて、京都 中勢以の新店舗が、

本日三月一八日(水)、開店の運びとなります。

これもひとえに皆様のご愛顧によるものと深く感謝申し上げます。

京都 中勢以は、今一度「日本の肉屋」の仕事に徹する所存でございます。

今後とも倍旧のご指導ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

まずは、略儀ながらご挨拶申し上げます。

 

敬白

二〇一五年三月吉日

 

京都 中勢以

加藤 中謙

謙一

社員一同